断食に向く時間帯の選び方:朝型と夜型を比べる
かんたんな答え: 代謝だけを見るなら、体内時計の研究にもとづいて、早い時間帯(朝から昼過ぎ)のウィンドウがわずかに有利です。ただし実際にいちばんよいのは、続けられる時間帯です。多くの人にとっては、12時〜20時か10時〜18時が、代謝面の効果と現実の生活のつり合いが取れたところになります。以下では、体内時計の証拠、朝型と夜型の論点、よくある時間帯の比較、そして崩さずにずらす方法を扱います。
中心にある問い
断食ウィンドウはどれも同じではありません。そして一日のどこに置くかは、多くの人が思っている以上に効きます。
同じ16:8をしていても、8時間の食事ウィンドウがいつ来るかで、結果はかなり変わります。
- Aさん: 7時から15時に食べる(早い時間帯)
- Bさん: 12時から20時に食べる(昼から夜の時間帯)
どちらも16時間断食しています。どちらも「16:8」です。それでも代謝、ホルモン、そして実際の使い勝手は違ってきます。
体内時計の科学が教えること
体は24時間の体内時計で動いていて、それがほぼすべての生理の働きを、代謝も含めて調整しています。要点を挙げます。
- インスリン感受性は朝に高く、一日を通じて下がっていきます
- すい臓のβ細胞の働き(インスリンを出す効率)は朝がいちばん高くなります
- 消化酵素と腸の動きは、日の出ているあいだのほうが活発です
- 深部体温と食事による熱産生は、一日の前半のほうが高くなります
- メラトニンは夕方に上がり、すい臓からのインスリンの放出を抑えます。遅い食事は、すでに店じまいを始めた時計にぶつかることになります
- 胃から出ていく速さは夜になると落ちます。遅い時間の量の多い夕食が重くもたれ、睡眠を妨げるのはこのためです
つまり、同じ食事でも8時に食べたほうが、20時に食べるより血糖値の上がり方がはっきり小さく、熱産生の反応は大きくなります。
これが**「早い時間帯の時間制限食(eTRE)」**、つまり食事ウィンドウを日の出ている時間に合わせるという考え方の背景にある科学です。
早い時間帯を支持する証拠
2018年にCell Metabolismに載った試験(Sutton et al.)では、糖尿病の一歩手前の男性が6時〜15時のウィンドウを5週間続けました。体重が減らなくても、次の改善が見られました。
- インスリン感受性
- 血圧
- 酸化ストレスの指標
これらは、食べる量ではなく、食べる時刻を動かしただけで起きています。
2022年にCell Metabolismに載ったランダム化試験(Lowe et al.、それ以前の研究を踏まえたもの)は、摂取カロリーをそろえても、早い時間帯のウィンドウのほうが空腹時インスリンと血糖の管理の改善が大きいことを確かめました。
証拠は一貫しています。代謝の健康を整えたい人にとって、早い時間帯には測れる利点があります。
夜型を選ぶ理由(そして多くの人が選ぶ理由)
実際のところはこうです。いまの生活では、多くの人にとって夕食が人と囲む中心の食事です。12時〜20時や13時〜21時のウィンドウは、7時〜15時よりはるかに社会の形に収まります。
そしてデータは、夜型のウィンドウでも十分に効くことを示しています。減量にも代謝の改善にも効きます。ただ、とくにインスリン感受性と体内時計の健康については、早い時間帯ほど強くはないかもしれない、というだけです。
2020年にJAMA Internal Medicineに載った研究では、12時〜20時のウィンドウの時間制限食が、太りぎみの成人に12か月で意味のある減量と代謝の改善をもたらしました。「早い」ウィンドウではなかったにもかかわらずです(Lowe et al., 2020)。
結論はこうです。体内時計の観点では早いほうが優れていますが、夜型のウィンドウも効果があり、多くの人の生活にははるかに収まりやすいものです。
よくある時間帯の比較
断食の助言はたいてい時間帯を名前で呼び、しかもその名前は端のどちらを引くかで変わるので混乱します。「20時から12時まで断食」と「12時から20時に食べる」は、同じ時間割を反対から見ただけです。「16時から8時まで断食」と「8時から16時に食べる」も同じです。実際に聞かれる時間帯を、断食の側も併記して並べます。
| 食事ウィンドウ | 断食の時間 | 体内時計との相性 | 向く人 | 難しいところ |
|---|---|---|---|---|
| 8時〜16時 | 16時から8時 | いちばんよい | 朝食を食べる人、逆流のある人、代謝の指標が目的の人 | 夕食が消えます。外食も、家族との食事も、夜の誘いもなくなります |
| 10時〜18時 | 18時から10時 | よい | 夕食を18時までに済ませられる人 | 早い夕食には家族の同意が要ります |
| 11時〜19時 | 19時から11時 | ほどよい〜よい | 標準より半歩早く、人づきあいの負担はほとんど増えません | ほとんどありません。過小評価されている形です |
| 12時〜20時 | 20時から12時 | ほどよい | 働く多くの人、朝食をとらない人、初心者 | 起きてからの断食の部分、起床のおよそ5時間後までが難所のすべてです |
| 13時〜21時 | 21時から13時 | やや弱い | 仕事の終わりが遅い人、夜の予定が多い人 | 寝る間際に食べると、まず睡眠が犠牲になります |
| 14時〜22時以降 | 22時から14時 | いちばん弱い | 進んで選ぶ人はほぼいません | 研究でもっとも成績の悪い形です。夜勤は別の問題で、後述します |
この表から二つのことが出てきます。
ひとつめは、12時〜20時が広く使われるのは、求める変更がひとつだけだからです。最初の食事を昼にずらす。それだけです。夕食はそのまま、朝のコーヒーはブラックのまま、そして夜のあいだに仕事の大半が眠っているうちに終わります。初心者にとっては、それが論拠のすべてであり、しかもよい論拠です。
ふたつめは、11時〜19時が、ほとんど代償なしに体内時計との相性を1時間ぶん買い戻せることです。12時〜20時がうまくいっていて、もう少し欲しいなら、これがいちばん安い上げ方です。断食を長くするより安く済みます。
決めたら、断食スケジュール・プランナーがその時刻を一週間に並べ、カレンダーのファイルにします。つらい水曜をウィンドウが生き延びるかどうかは、そこで決まります。
時間帯の選び方
三つ自問してください。
1. 主な目的は何か。 インスリン感受性、血糖の管理、体内時計の健康なら、早いほうへ。 減量と代謝の全般的な改善なら、一定であればどの時間帯でも効きます。 いまの生活に断食を入れることなら、体内時計の最適化より収まりのよさを優先してください。
2. 自然に空腹になるのはいつか。 本当に空腹で目が覚めて朝食が要る人もいれば、昼まで空腹にならない人もいます。自分の食欲の出方は、あてになる手がかりです。
3. 人づきあいと仕事はどうなっているか。 家族との夕食、仕事の昼食、人との集まり。これらがウィンドウのどこかに収まる必要があります。断食計算ツールが、起床時刻、就寝時刻、目標の断食時間から組み立てます。代謝のうえで最適でも守れない時間帯は、「最適でない」けれど守れる時間帯より劣ります。
決めた時間帯を機能させる
どの時間帯を選ぶにしても、次のことを守ってください。
- 一定に保つ。空腹ホルモンと体内時計は、1〜2週間で時間割に慣れます
- 断食は、糖の多いものではなくバランスの取れた食事(タンパク質+質のよい脂質+野菜)で明ける
- 断食のあいだも水分をとる
- そのウィンドウが効いているかを判断する前に、2〜4週間かける
時刻が決まったら、食事ウィンドウ・プランナーがそのなかで食事の間隔を取り、一日のカロリーを振り分けます。
多くの人が落ち着くのは12時〜20時で、それがほかとくらべて何を差し出すかは上の表にあります。代謝を最適にする側を選びたいなら、次の節で16時から8時までの断食をふつうの一週間のなかで生き残らせる方法を扱います。
早い時間帯を現実のなかで続ける
体内時計の理屈は受け入れやすく、生きるのは難しいものです。西洋の人づきあいの多くが夕食で起きているからです。早い時間帯は生物学ではなくカレンダーで倒れます。それを生かすものが四つあります。
時計だけでなくカロリーも前へ寄せる。 早い時間帯にしておいて朝食は申し訳程度、15時に重い食事、では動かした意味の大半が消えます。朝食をいちばん量の多い食事にして(タンパク質、脂質、しっかりしたもの)、昼食を一日の軸に、最後の食事をいちばん軽くしてください。同じ一日ぶんのカロリーを朝食と夕食に振り分けた研究は、朝食側に軍配を上げています。試されているのはそのパターンです。
18時という妥協を取る。 18時の夕食は15時の夕食ではありませんが、21時よりずっとましです。早い時間帯の効果の多くは、異常に早く食べることではなく、遅く食べないことから来ています。15時までという線が続けられない理由なら、その線を捨てて、ウィンドウのほうを残してください。
平日は厳しく、週末はゆるく。 5日ぶんの早い食事は、5日ぶんの早い食事です。土曜を諦めるほうが、2か月目に全部やめるより損は小さくなります。
それでも食卓につく。 夕食の目的が人であるなら、ほかの人が食べるあいだ、お茶や炭酸水でその場にいてください。それを楽に感じる人もいれば、つらく感じる人もいます。無理だと決める前に、一度は正直に試す価値があります。
崩さずに時間帯をずらす
ウィンドウは一度決めたら永久のものではなく、ずらすのはふつうのことです。ただし、決断ではなく助走が要ります。
30分か1時間ずつ、週に1段ずつ動かし、次へ進む前にその段をなじませてください。いま19時半に夕食をとっていて16時までにしたいなら、およそ1か月ぶんの日曜が要ります。18時半、次に17時半、次に17時、そして16時です。空腹ホルモンは教えられた時刻に出るので、助走の目的は、意地で押し切ることではなく時刻を教え直すことです。いきなり目標へ飛ぶと、4日で「早い時間帯は耐えられない」という結論に着きます。
同じ計算は逆向きにも、そして夜更かしのあとにも当てはまります。夕食が22時までかかったなら、翌日の開始を同じだけ遅らせてください。もとの時刻を守って断食を短く切り上げるのではなく、です。断食計算ツールが、起床時刻と目標の時間からその計算をします。頭のなかで追いたくないなら使ってください。
ひとつ注意を。日ごとに2〜3時間を超えてウィンドウを動かすのは融通ではなく漂流で、そのウィンドウを選んだ理由である体内時計の効果を失わせます。意図してずらし、そして保ってください。
よくある質問
抜くなら朝食と夕食のどちらがよいですか?
体内時計の観点では、夕食を抜く(早く食べる)ほうが代謝のうえで有利です。ただし多くの文化で、夕食は人づきあいに深く組み込まれています。その引き換えの両側は、このページの前半で扱いました。
20時から12時まで断食するのと、12時から20時に食べるのは同じですか?
同じです。ひとつの時間割を反対の端から述べているだけで、前者は断食を、後者は食事ウィンドウを名前にしています。どちらも16時間の断食で、食事は12時から20時のあいだです。言い方が変わっても、体のなかで起きることは変わりません。
朝食を食べると痩せますか?
「朝食を抜くな」という古い決まりは、対照のある研究ではあまり支持されていません。総カロリーをそろえると、朝食を食べるかどうかが体重に独立して与える影響はわずかです。これは朝に食べることへの反論ではありません。早い時間帯を支持する根拠は、体重計ではなく代謝の指標、つまりインスリン感受性、血圧、血糖の管理のほうにあります。
断食の長さと時間帯では、どちらが大事ですか?
答えている問いが違います。長さは、どれだけ断食するかを決めます。時間帯は、食事がどこに来るかを決めます。長さがなければ断食の代謝には入れませんし、位置は食べたものをどれだけうまく扱えるかを決めます。どちらも、続けられることには勝てません。1年守れる遅めの時間帯は、3月にやめる完璧な時間帯に勝ります。
週末に時間帯をずらしてもいいですか?
週末に食事ウィンドウを2〜3時間を超えてずらすと、「社会的時差ぼけ」が起きます。体内時計と食事の時間割がずれた状態です。よい結果のためには、一週間を通じて数時間以内のぶれに収めてください。
夜勤で働いている場合はどうすればいいですか?
夜勤の方はまったく別の課題に向き合っています。体内時計がすでに乱れているからです。夜勤の方の断食に専用のガイドがあります。
あとから時間帯を変えてもいいですか?
かまいません。多くの人は12時〜20時(いちばん取り入れやすい形)から始めて、慣れて結果が見えてきたら少しずつ早めていきます。まったく妥当なやり方で、動かしたときの新しい端の時刻の出し方は断食ウィンドウ計算ツールの使い方にまとめています。
参考文献
- Sutton EF, et al. Early time-restricted feeding improves insulin sensitivity, blood pressure, and oxidative stress even without weight loss in men with prediabetes. Cell Metab. 2018;27(6):1212–1221.
- Lowe DA, et al. Effects of time-restricted eating on weight loss and other metabolic parameters in women and men with overweight and obesity. JAMA Intern Med. 2020;180(11):1491–1499.
- Longo VD, Panda S. Fasting, circadian rhythms, and time-restricted feeding in healthy lifespan. Cell Metab. 2016;23(6):1048–1059.
- Jakubowicz D, et al. High caloric intake at breakfast vs. dinner differentially influences weight loss. Obesity. 2013;21(12):2504–2512.